この記事はこんな人におすすめ:
交通事故で仕事を休んだものの、勤務先から休業損害証明書をもらえない人
会社に何を説明し、誰へ作成を頼めばよいか迷っている人
証明書がそろわない場合に、どんな資料を準備すればよいか知りたい人
勤務先が休業損害証明書を書いてくれなくても、それだけで休業損害を請求できなくなるとは限りません。 まず作成が進まない理由を確認し、それでも取得できない場合は、収入や休業の事実を他の資料で説明する方法を検討します。ただし、給与明細など一つの資料だけで、必要な事実をすべて証明できるとは限りません。この記事では、会社への依頼から、保険会社に相談する際の資料整理までを解説します。
目次
休業損害証明書がなくても、別の立証方法を検討できる
まず勤務先が書けない理由を確認する
会社へ作成を依頼するときの伝え方
証明書が取得できない場合に整理したい資料
保険会社へ事情を伝え、不足する情報を確認する
まとめ:会社への再確認と資料の整理を並行して進める
休業損害証明書がなくても、別の立証方法を検討できる
証明書は収入と休業の状況を確認する資料
休業損害証明書は、給与所得者の収入や休業の状況を勤務先に証明してもらう資料です。休んだ期間、欠勤・有給休暇・遅刻・早退の内訳、休業中の給与の支払い、事故前の給与などを確認するために使われます。
指定の実務書でも、給与所得者について、雇用主の証明書、源泉徴収票、給与明細などが挙げられています。一方、通常の書類を用意できない場合でも、他の方法による立証を検討する必要があると説明されています。
証明書を入手できないことと、休業損害が存在しないことは別です。 まず、証明書がないために何を確認できていないのかを整理しましょう。
書類があれば、自動的に全額認められるわけでもない
反対に、勤務先の証明書があっても、それだけで請求した日数や金額がすべて認められるとは限りません。仕事を休んだ事実に加え、その休業が事故のけがによるものか、どの程度仕事に影響したかなども問題になります。
会社の記録は勤務や給与の確認に役立ちますが、けがの状態や仕事への医学的な影響については、診療の記録や主治医の意見などが必要になる場合があります。勤務先だけに、すべての判断や説明を求めるものではありません。
まず勤務先が書けない理由を確認する
担当者・記入方法・対象期間のどこで止まっているか
「書いてもらえない」という状況でも、依頼先が違う、記入方法が分からない、給与計算が終わっていないなど、事情はさまざまです。まずは次の点を確認してみましょう。
給与・勤怠を管理する担当部署に依頼が届いているか
書式のどの欄について、記載できないと考えているか
対象となる期間や、必要な記録が明確になっているか
作成できないのか、作成に時間が必要なのか
これらは確認のための例であり、勤務先が拒否する典型的な理由を網羅したものではありません。回答があれば、依頼日、相手、説明された内容を記録してください。
給与が減っていない場合は、有給休暇等の処理を確認する
給与が通常どおり支払われている場合でも、事故による休みがどのように処理されたかを確認しましょう。勤務先の証明書には、給与の支払状況だけでなく、有給休暇の使用などを記載する意味もあります。
「給与が減っていないので書くことがない」と言われた場合は、勤務実績や休暇の区分を確認するための資料でもあることを伝え、該当する事実を記載できるか相談してください。有給休暇を欠勤とするなど、事実と異なる記載を頼んではいけません。
会社へ作成を依頼するときの伝え方
用紙と対象期間を示し、確認してほしい事項を明確にする
会社には、提出先から案内された用紙や記入説明を渡し、対象期間と依頼したい内容を具体的に伝えましょう。たとえば、次のような依頼文が考えられます。
交通事故による休業損害の請求にあたり、勤務状況と給与の支払状況を確認する書類が必要となっています。添付の用紙について、○月○日から○月○日までの欠勤・有給休暇・遅刻早退と、所定の給与欄の確認・作成をお願いできますでしょうか。記載が難しい欄や未確定の事項がある場合は、その箇所をお知らせください。作成の見込み時期も教えていただけますと助かります。
これは依頼のための文例であり、勤務先の法的な作成義務や、必ず応じてもらえることを示すものではありません。
下書きと、勤務先の証明を区別する
本人が通院日や休んだ日の一覧を作り、会社に確認の参考として渡すことは考えられます。ただし、本人が作った一覧と、勤務先が内容を確認して証明した書類は区別してください。
会社が作成しないからといって、会社の証明欄を自分で完成させたり、確認を受けていない内容を会社の証明として提出したりしてはいけません。 訂正が必要な場合も、勤務先と提出先へ方法を確認しましょう。
証明書が取得できない場合に整理したい資料
「収入」「休んだ事実」「休業の必要性」を分ける
代わりの資料を検討するときは、資料名を並べるだけでなく、何を説明するためのものかを明確にします。以下は候補の整理例であり、提出すれば必ず証明書の代わりになるという一覧ではありません。
説明したいこと | 検討する資料の例 | 注意点 |
|---|---|---|
事故前後の給与 | 給与明細、源泉徴収票、給与振込の記録 | 振込額だけでは、総支給額や控除の内訳が分からない場合がある |
雇用・勤務条件 | 雇用契約書、労働条件通知書、勤務時間や給与計算の資料 | 契約上の条件と、実際の勤務・支給状況を区別する |
休んだ日・時間 | 勤怠記録、シフト表、休暇申請、欠勤連絡の記録 | 出勤予定と実際に休んだ日、休暇の種類を対応させる |
けがによる仕事への影響 | 診断書、診療記録、主治医の意見、仕事内容の説明 | 診断名だけで、すべての休業日の必要性が決まるわけではない |
証明書を取れない事情 | 勤務先への依頼と回答の記録 | 証明書がない理由の説明であり、損害額の証明そのものではない |
指定の実務書は、収入だけでなく、就労に影響が出た期間や程度の立証も求めています。給与明細がそろったから十分と考えず、休業やけがとの関係を補う資料も確認しましょう。
源泉徴収票がない問題と、証明書自体がない問題を混同しない
損害保険料率算出機構が公表する政府の保障事業用の休業損害証明書には、前年の源泉徴収票を用意できない場合の資料として、賃金台帳の写し・雇用契約書・所得証明書が案内されています。
ただし、これはその書式における源泉徴収票の不足への案内です。これらがあれば休業損害証明書そのものが一律に不要になる、という意味ではありません。 自分の請求先に、どの資料を組み合わせる必要があるかを確認してください。
退職後や勤務先と連絡が取りにくい場合も、手元の記録を探す
退職後などで証明書を頼みにくい場合は、在職中の給与明細、源泉徴収票、勤務予定、休暇申請の控えなど、手元に残っている資料を確認しましょう。会社へ連絡できる場合は、証明書の作成に加え、必要な記録の提供を相談する方法も考えられます。
資料を集める際は、自分が適法に保有・取得できる範囲で行い、退職後の社内システムへの無断アクセスや、他の従業員の情報の持出しは避けてください。資料が少ない場合は、そのままの状況を請求先や相談先に伝えます。
保険会社へ事情を伝え、不足する情報を確認する
証明書を待つだけでなく、現状を説明する
会社への依頼が進まない場合は、保険会社にも、証明書を取得できていない理由と、現在用意できる資料を伝えましょう。「ほかの資料でもよいですか」だけでなく、具体的に何があるかを示すと、確認すべき内容を整理できます。
たとえば「給与明細と勤怠記録はありますが、会社の証明書は取得できていません。収入と休業日数を確認するために、ほかにどの情報が必要ですか」と尋ねる方法があります。
追加資料を求められたら、それが収入額の確認なのか、休業日数の確認なのか、事故との関係の確認なのかを確かめてください。何を補うのか分からないまま、同じ書類だけを繰り返し提出することは避けましょう。
解決しない場合は、依頼経過と資料を持って相談する
勤務先とのやり取りが難航する、代替資料を提出しても理由が分からないまま請求を認めてもらえないといった場合は、弁護士に相談する方法があります。
相談時には、事故と治療の経過、勤務・給与の資料、会社への依頼内容、保険会社からの回答をそろえましょう。どの事実をさらに説明する必要があるか、資料を追加取得する方法があるかを検討します。
弁護士への依頼によって、会社が必ず証明書を作成する、損害が必ず認められるというものではありません。まずは不足している事実と、利用できる資料を具体化することが大切です。
まとめ:会社への再確認と資料の整理を並行して進める
休業損害証明書を書いてもらえない場合は、依頼先や書けない理由を確認し、対象期間と必要事項を示して作成を相談しましょう。それでも取得できない場合は、他の資料による立証を検討します。
証明すべき内容を、収入・休業の事実・事故による仕事への影響に分けて整理することが重要です。 証明書の不足だけで諦めず、現状を保険会社へ伝え、解決しないときは資料と連絡記録をそろえて相談してください。
この記事の執筆者
あきらB
交通事故被害者の方が適切な賠償金を受け取れるよう、法律的な観点から初期対応のアドバイスや記事の執筆、内容の検証・監修を行っています。