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交通事故の後遺障害による逸失利益とは?計算の考え方と必要資料 

交通事故の後遺障害による逸失利益とは?計算の考え方と必要資料 

あきらB

#総論

この記事はこんな人におすすめ:

  • 後遺障害が残り、将来の収入への影響について知りたい人

  • 保険会社の提示書にある「逸失利益」の計算を確認したい人

  • 給料は変わっていないものの、仕事への支障が続いている人

後遺障害による逸失利益は、事故による障害が残ったために、将来得られたはずの収入などを失う損害です。 基本的には「基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応する中間利息控除係数」で計算します。ただし、後遺障害の等級だけで金額が決まるわけではなく、仕事の内容、収入への影響、支障が続く期間を確認する必要があります。計算式の意味と、提示額を確認するために整理したい資料を説明します。

目次

  • 後遺障害の逸失利益と慰謝料・休業損害の違い

  • 逸失利益の基本的な計算方法

  • 等級だけで労働能力喪失率・期間は決まらない

  • 減収がない場合や等級が非該当の場合

  • 逸失利益を検討するために整理したい資料

  • まとめ:計算式の数字と仕事への影響を確認する

後遺障害の逸失利益と慰謝料・休業損害の違い

将来の収入などへの影響を賠償の対象として考える

治療を受けても障害が残ると、以前と同じ仕事を続けにくくなったり、働ける時間や担当できる業務が減ったりすることがあります。そのような将来の収入などへの影響について検討するのが、後遺障害による逸失利益です。

障害があることと、具体的な経済的損害が生じることは区別します。診断名や等級を確認するだけでなく、実際の仕事内容にどのような支障が生じるかが重要です。

同じ事故でも損害の項目を分ける

損害の項目

主に検討する内容

休業損害

治療のために仕事を休むなどして生じた収入への影響

後遺障害による逸失利益

症状固定後に残った障害による将来の収入などへの影響

後遺障害慰謝料

障害が残ったことによる精神的苦痛や生活への影響

症状固定とは、治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態をいいます。後遺障害の逸失利益では、症状固定後の労働能力への影響が問題になります。

慰謝料が提示されているからといって、逸失利益まで含まれているとは限りません。 提示書でそれぞれの項目と対象期間を確認してください。

逸失利益の基本的な計算方法

基礎収入・喪失率・係数を掛け合わせる

後遺障害による逸失利益の基本的な計算式は、次のとおりです。


基礎収入(年額)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数

基礎収入は、将来の収入を評価するための出発点です。労働能力喪失率は、後遺障害によって働く能力がどの程度失われたかを割合で表したものです。

最後の係数は、将来にわたって生じる損害を、まとめて先に受け取ることによる利息分を調整するために用います。一般に用いられるものが「ライプニッツ係数」です。単に年収に年数を掛ける計算とは異なります。

計算例は前提を確認して読む

計算の仕組みを示すため、次の条件が採用されたと仮定します。実在の事例や、特定の等級に必ず当てはまる条件ではありません。

  • 基礎収入:年400万円

  • 労働能力喪失率:10%

  • 労働能力喪失期間:5年

  • 中間利息控除:年3%を前提とする5年のライプニッツ係数4.5797

この場合は、次の計算になります。

400万円×10%×4.5797=183万1,880円

ここで使った5年の係数は、指定の実務書で示されている数値です。実際の計算では、事故時期に応じた適用利率と、認められる期間を確認します。

この金額は仮定した条件による逸失利益だけの算術例です。慰謝料などを加えた損害全体でも、過失相殺や既払金の調整後の最終的な受取額でもありません。

死亡逸失利益の式と混同しない

死亡による逸失利益では、将来の生活費に関する控除を行う計算が問題になります。一方、後遺障害の逸失利益では、被害者が生活を続けるため、生活費を控除しないのが原則です。

「逸失利益」という言葉が共通していても、死亡事故の計算式をそのまま当てはめないようにしましょう。

等級だけで労働能力喪失率・期間は決まらない

仕事の内容と障害の影響を確認する

実務では、等級に応じた労働能力喪失率の表が参考にされます。ただし、指定の実務書は、表を形式的に当てはめるのではなく、職業、年齢、障害の部位・程度、事故前後の働き方などを総合的に評価することを説明しています。

たとえば、手の動きの制限について考える場合も、細かな作業を続ける仕事と、別の業務では影響の現れ方が異なります。これは判断の視点を示す仮定の説明であり、職種だけで認められる割合が決まるという意味ではありません。

等級の認定結果に加えて、どの作業が、どの程度難しくなったかを具体的に整理することが大切です。

支障が続く期間も個別に検討する

労働能力喪失期間は、原則として症状固定を起点に考えます。ただし、まだ就労していない学生などでは、将来の就労開始時期も検討する必要があります。

終期については就労可能な期間が問題になりますが、障害の内容、年齢、職業、健康状態などにより評価が変わります。むちうちによる神経症状などについて、期間を限定して評価する扱いもあります。

「この等級なら必ず何年」「全員が同じ年齢まで」という当てはめをせず、提示された年数の理由を確認してください。症状の経過や今後の見通しに関する医療資料も検討材料になります。

減収がない場合や等級が非該当の場合

給料が変わらなくても確認すべき事情がある

事故後も同じ給料を受け取っている場合、逸失利益が認められるかが問題になります。現実の減収は重要ですが、給料の数字だけで結論づけることはできません。

指定の実務書では、本人の特別な努力によって収入減を避けている場合や、将来の昇進・昇給・転職で不利益を受けるおそれが認められる場合などが検討されると説明しています。

そのため、以前より作業に時間がかかる、補助を受けて業務を続けている、担当業務が変わったなどの事情があれば、実際の状況と収入との関係を整理します。事情があると主張するだけで必ず認められるわけではなく、裏付けとなる資料が重要です。

自賠責で非該当でも、裁判上の判断と同じとは限らない

自賠責で後遺障害の等級が認められなかったことだけから、裁判上の逸失利益も必ず否定されるとはいえません。指定の実務書でも、等級非該当のケースで労働能力への影響を主張する余地が説明されています。

反対に、等級が認められれば、表どおりの逸失利益が自動的に支払われるわけでもありません。等級の判断と、仕事・収入への影響についての判断を区別して検討します。

逸失利益を検討するために整理したい資料

提示額を確認する際は、計算式に入っている数字と、その数字を支える資料を対応させます。

確認する点

整理する資料・情報の例

基礎収入

源泉徴収票、給与明細、確定申告書などの収入資料、事故前後の収入の推移

障害の内容

後遺障害診断書、検査・画像資料、等級認定結果、治療経過

仕事への影響

事故前後の業務内容、担当変更、作業時間、補助を受ける場面の記録

将来への影響

職務や雇用の状況、昇進・転職などについて問題となる具体的事情

喪失期間・係数

症状固定日、年齢、症状の見通し、計算書に使われている年数・利率・係数

これらは、すべてを一律に提出しなければならないという一覧ではありません。会社員、自営業者、家事従事者、学生などでは基礎収入の考え方や必要な資料が異なるため、自分の状況に応じて整理します。

仕事への支障は、「つらい」「働きにくい」だけでなく、どの動作・作業で困るのか、事故前と比べて何が変わったのかを記録します。推測や誇張で埋めず、医療資料と実際の業務内容を照らし合わせて説明しましょう。

保険会社には、採用した基礎収入、喪失率、喪失期間、係数と、それぞれの理由を確認します。争点が分からない場合は、提示書・医療資料・収入資料を持って弁護士に相談できます。

まとめ:計算式の数字と仕事への影響を確認する

後遺障害の逸失利益は、基本的に基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間に対応する係数を用いて計算します。ただし、等級だけを当てはめれば金額が確定するわけではありません。

計算に使われた数字を確認し、その前提となる仕事・収入への影響を資料で整理することが重要です。 減収の有無や等級の結果だけで判断せず、具体的な事情に即して検討しましょう。

この記事の執筆者

あきらB

交通事故被害者の方が適切な賠償金を受け取れるよう、法律的な観点から初期対応のアドバイスや記事の執筆、内容の検証・監修を行っています。

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