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交通事故後に恐怖や不眠が続くときは?PTSDなどの後遺障害認定と必要な資料

後遺障害

2026/10/07

交通事故後に恐怖や不眠が続くときは?PTSDなどの後遺障害認定と必要な資料

あきらB

#部位・症状別

この記事はこんな人におすすめ:

  • 交通事故後、事故の場面を思い出したり、車に乗ることが怖くなったりしている人

  • PTSDやうつ病などと診断され、生活や仕事への影響が続いている人

  • 精神的な症状について、後遺障害認定に必要な資料を整理したい人や家族

交通事故後にPTSDなどの精神的な障害が残った場合、後遺障害として評価されることがあります。ただし、診断名が付いたことだけで、事故との関係や等級が決まるわけではありません。

どのような症状が、いつから続き、生活や仕事にどの程度影響しているかを、診療記録と具体的な出来事から整理することが重要です。この記事では、PTSDなどが問題になる「非器質性精神障害」の認定について、確認すべき点を説明します。

目次

  • 交通事故後のPTSDと非器質性精神障害とは

  • 後遺障害は、診断名より症状と能力への影響を確認する

  • PTSDなどでは、どのような等級が問題になる?

  • 事故との関係は、発症と治療の経過から整理する

  • 生活・仕事への支障を具体的に記録する

  • 認定に向けて準備したい資料と主治医への伝え方

  • 非該当や等級に疑問があるときの確認点

  • まとめ:診療記録と日常の変化を結び付けて伝える

交通事故後のPTSDと非器質性精神障害とは

強い恐怖体験の後に、症状が続く場合がある

PTSDは、心的外傷後ストレス障害のことです。重大な事故などの体験後に、出来事が意思に反してよみがえる、関連する場所や状況を避ける、強い緊張が続くといった症状が問題になります。気分やものの捉え方にも変化が生じる場合があります。

例えば、事故の場面が突然浮かぶ、事故を思い出す道路を避ける、周囲の音に過敏になるといった状態です。ただし、事故後に不眠や不安があることだけで、PTSDと判断できるわけではありません。

精神的な症状が続いている場合には、症状の内容や経過を医師に伝え、精神科など適切な診療につなげてもらうことが大切です。後遺障害の手続きを考える前提として、まず診断と治療を受け、現在の状態を把握する必要があります。

「非器質性」は、症状が存在しないという意味ではない

非器質性精神障害は、後遺障害の評価上、脳の器質的損傷を伴わない精神障害を指す言葉です。脳の損傷による高次脳機能障害などとは、区別して検討します。

この区別は、症状が本人の気の持ちようにすぎないという意味ではありません。画像に脳の損傷が写っていないからといって、精神的な症状や生活上の困難が存在しないと判断するものでもありません。

一方、頭部を負傷した後に記憶力や集中力の低下が現れた場合などには、脳損傷による症状なのか、別の原因による症状なのかを確認する必要があります。本人や家族だけで原因を決めず、受傷時の状況と診療経過を医師に確認しましょう。

PTSDという診断名に限って検討するものではない

交通事故後には、抑うつ状態、不安、意欲の低下など、さまざまな精神症状が問題になります。診断としてうつ病、適応障害などが検討される場合もあり、PTSDという名称だけに注目することは適切ではありません。

指定書籍でも、診断名が付けば障害の存在や事故との因果関係がすべて証明されるわけではないと説明されています。診断の根拠、残った症状、実際の支障を、それぞれ整理する必要があります。

後遺障害は、診断名より症状と能力への影響を確認する

精神症状と、生活上の能力の両方を見る

非器質性精神障害の評価では、精神症状が残っていることに加え、生活や仕事に関係する能力への影響を確認します。「気分が落ち込む」という説明だけでなく、そのためにどのような行動が難しくなっているかが重要です。

指定書籍が紹介する認定基準では、抑うつ、不安、意欲低下などの症状と、身の回りの生活や作業の継続などの能力を検討します。症状の名称と、生活の中で生じている困難を対応させることが大切です。

例えば、不眠がある場合には、眠れないという事実に加えて、日中の集中や通勤にどう影響しているかを確認します。不安がある場合には、どのような場面で生じ、行動がどのように制限されるかを整理します。

生活・仕事を確認する8つの観点

書籍が紹介する能力の判断項目は、次の8つです。表の右欄は、状態を説明するための一般的な記録例であり、診断や等級を判定するチェックリストではありません。

確認する観点

具体的に整理する内容

身辺日常生活

食事、入浴、着替えなどを自分で行えるか

仕事・生活への積極性や関心

日常の活動を始め、続けることができるか

通勤・勤務時間の遵守

通勤、出勤時間、約束した時間を守れるか

作業の持続

集中して作業を継続できるか、途中で休止が必要か

他人との意思伝達

困り事や必要事項を相手に伝えられるか

対人関係・協調性

人との共同作業や連絡調整に支障があるか

安全保持・危険回避

身の回りの危険に気付き、対応できるか

困難・失敗への対応

予定変更や作業上の失敗に対処できるか

同じ「できる」という状態でも、一人で行える場合と、家族の声かけや勤務先の援助があって初めて行える場合は異なります。何ができないかに加え、どのような支援があればできるかも伝えましょう。

ただし、この8項目を数えるだけで自賠責の等級が自動的に決まるわけではありません。書籍は、労災の評価方法と自賠責の実務上の評価を分けて説明しています。

PTSDなどでは、どのような等級が問題になる?

原則的な区分は9級・12級・14級

指定書籍では、非器質性精神障害の評価について、原則として9級・12級・14級の区分を紹介しています。労働能力と日常生活への影響を平易に整理すると、次のようになります。

等級

評価の大枠

書籍が示す自賠責での参考となる状態

9級

通常の労務は可能でも、就ける職種が相当程度制限される

日常生活に著しい支障がある

12級

通常の労務は可能だが、一定の障害が残る

日常生活に頻繁に支障が生じる

14級

通常の労務は可能だが、軽微な障害が残る

おおむね生活は可能だが、時々支障が生じる

この表は評価の方向を示すもので、全要件を示したものではありません。「週に何回困るから12級」といった単純な頻度の判定でもなく、支障の内容、程度、必要な助言・援助などを確認します。

また、特に重い状態については、9級を超える評価が問題になる場合も書籍で検討されています。したがって「PTSDは必ず14級」「非器質性精神障害は絶対に9級まで」と一律に説明することはできません。

働いているかどうかだけでは判断できない

復職している場合にも、事故前と同じ能力で働けているとは限りません。通勤の付き添い、業務量の軽減、配置転換、周囲の継続的な助言があって仕事を続けている場合には、その事情を確認します。

反対に、休職していることだけで、特定の重い等級に当たるわけでもありません。休職の理由、症状の程度、仕事を妨げている事情を把握する必要があります。

家事を担っている人や学生など、勤務先の評価を得にくい場合もあります。賃金労働の有無だけで判断せず、家事や通学、日常生活に現れている支障を具体的に整理しましょう。

事故との関係は、発症と治療の経過から整理する

症状が始まった時期と、受診した時期を区別する

事故との関係を検討する際には、症状がいつから始まり、その後どのように変化したかが重要です。精神科で診断を受けた日と、本人が症状を感じ始めた日は、必ずしも一致しません。

例えば、事故後から眠れない状態があったものの、当初は身体のけがの治療を優先し、後から精神科を受診した場合も考えられます。その場合は、当時の診療記録や相談の記録に、症状の経過が残っていないか確認します。

受診まで期間が空いていれば、その間の状態と受診が遅れた事情を整理します。遅れて受診したことだけで認定の可否が決まるわけではありませんが、経過を説明する資料が重要になります。

事故前の状態や、ほかの要因も確認する

事故前から通院していた場合には、当時の症状、治療内容、仕事や生活の状況を確認します。事故前に精神疾患があったからといって、事故による悪化が一切問題にならないわけではありません。

一方、事故後に症状があるという時間的な順序だけで、すべてが事故の影響と決まるものでもありません。事故以外の出来事や、それまでの病状の推移も含め、医師の見解と資料を確認します。

書籍では、既存の障害が事故で悪化したかどうかも検討されています。もともとの状態と事故後の変化を分けて説明することが、因果関係や賠償範囲を考えるうえで大切です。

診断書と、その根拠となる経過を結び付ける

診断書は重要な資料ですが、診断名だけが記載され、症状の始まりや生活上の変化が分からないと、評価に必要な情報が十分に伝わらない場合があります。

事故の状況、症状の出現、治療の経過、残った支障について、医師がどのような情報をもとに判断したかを確認しましょう。本人の説明、家族が見た様子、診療記録が食い違っている場合には、時期や場面の違いがないかを整理します。

症状に波がある場合には、良い日と悪い日を区別して伝えることも必要です。一度外出できたことや、ある日の不調だけを切り取ると、全体の状態が伝わりにくくなります。

生活・仕事への支障を具体的に記録する

症状、行動への影響、必要な援助を一緒に残す

日常の記録は、「つらかった」という感想だけでなく、どのような場面で何が起き、予定や作業にどう影響したかを残すと役立ちます。長文で毎日書き続けることが目的ではありません。

記録する項目

記載の一般例

日時と場面

通勤途中、交差点を通ろうとしたとき

症状や反応

事故を思い出して強い恐怖を感じ、その場で立ち止まった

行動への影響

出勤が遅れ、予定していた業務に入れなかった

必要だった援助

家族に連絡し、付き添ってもらった

その後の状態

落ち着くまで休み、当日の業務を短縮した

これは記録の書き方を示す架空の例です。同じ経験をしていない場合に、例に合わせた記載をする必要はありません。

当時残した記録と、後から思い出して整理した内容は分けておきましょう。日付や回数がはっきりしない場合には、無理に正確な数字を作らず、その旨を記載します。

家族は、観察した事実と本人の訴えを分ける

家族の記録では、「本人が怖いと言っていた」という訴えと、「外出の支度をした後、玄関で動けなくなった」という観察した事実を区別します。

声をかけないと食事や身支度が進まない、外出に付き添いが必要になったなど、実際に行っている支援も残します。家族が代わりに行っているため、生活上の困難が見えにくくなっている場合もあります。

事故前にはできていたことと、現在の状態を比べると、変化を説明しやすくなります。ただし、本人の状態を必要以上に重く表現せず、自分でできていることも含めて整理することが重要です。

勤務先や学校の資料も確認する

勤務先の資料では、休業日数や収入だけでなく、業務量、担当業務、勤務時間、周囲の援助の変化を確認します。症状による制限と、職場側の都合による変更は分けて整理しましょう。

学生の場合には、欠席や遅刻、通学の付き添い、授業中の支障など、学校生活の変化が確認対象になります。家事を担う人では、食事の準備、買い物、家族の世話など、事故前の役割と現在必要な援助を整理します。

いずれも、「仕事や学校に行けたか」だけでなく、行くために必要だった支援と、そこでの活動状況まで確認することが大切です。

認定に向けて準備したい資料と主治医への伝え方

何を説明する資料なのかを整理する

認定の検討では、次の資料について、手元にあるものと確認が必要なものを分けましょう。

  • 事故状況や受傷内容が分かる資料

  • 事故直後からの診療記録と、精神科等への紹介状

  • 精神症状の診断、治療内容、処方と経過が分かる資料

  • 主治医が実施した検査や評価の結果

  • 後遺障害診断書、必要に応じた主治医への照会回答

  • 本人・家族による症状と支援の記録

  • 勤務先や学校の資料、家事の変化を示す記録

すべてを一律にそろえる必要があるという意味ではありません。診断の根拠、事故との関係、障害の程度のうち、どの点の説明が不足しているかに応じて確認します。

診察では、生活上の出来事まで伝える

診察では、症状の種類だけでなく、どのくらい続き、何ができなくなり、誰の援助が必要だったかを伝えます。本人が説明しにくい場合には、家族のメモなども活用できます。

希望する等級に合わせた表現を求めるのではなく、主治医に現在の状態を正確に評価してもらうことが基本です。診断書の内容を確認するときも、実際の症状や経過が反映されているかという観点で見ます。

後遺障害の手続きに進む時期については、治療経過や今後の見通しを主治医に確認し、弁護士とも整理しましょう。事故から一定期間が過ぎたという理由だけで、症状の評価を急ぐものではありません。

非該当や等級に疑問があるときの確認点

非該当や想定と異なる等級となった場合には、まず判断の理由を確認します。精神症状の診断、事故との関係、残った障害の程度のどこが問題になっているかで、必要な対応が変わります。

例えば、発症時期が明らかでなければ、初期の診療記録を確認します。生活上の支障が十分に伝わっていなければ、家族の援助や勤務先の配慮が資料に反映されているかを確認します。

「PTSDと診断されている」という説明を繰り返すだけでは、認定理由への回答にならない場合があります。不足している事実や資料を特定したうえで、追加資料の提出や異議申立てなどを検討することが重要です。

裁判での評価を検討する場合にも、別の事件で認められた等級だけを当てはめることはできません。自分の事案の症状、経過、生活状況を確認し、認定手続きと損害賠償請求の見通しを整理しましょう。

まとめ:診療記録と日常の変化を結び付けて伝える

交通事故後のPTSDなどは、診断名だけでなく、事故との関係と、生活・仕事への影響を具体的に確認する必要があります。画像で脳の損傷が確認されないことだけで、精神的な障害の評価が終わるわけではありません。

症状が始まった時期、治療の経過、家族や勤務先の支援を整理しましょう。診療記録と日常の出来事を結び付け、本人がどのような困難を抱えているかを正確に伝えることが大切です。

この記事の執筆者

あきらB

交通事故被害者の方が適切な賠償金を受け取れるよう、法律的な観点から初期対応のアドバイスや記事の執筆、内容の検証・監修を行っています。

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