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交通事故で内臓に後遺症が残ったら?呼吸・消化・排尿の障害と後遺障害等級

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2026/10/07

交通事故で内臓に後遺症が残ったら?呼吸・消化・排尿の障害と後遺障害等級

あきらB

#部位・症状別

この記事はこんな人におすすめ:

  • 胸やお腹のけがの治療後も、息切れや食事・排便の支障が続いている人

  • 腎臓などの臓器を摘出した、人工肛門を造設した、排尿の管理が必要になった人

  • 外見では伝わりにくい内臓の障害を、どのような資料で説明すればよいか知りたい人

交通事故による内臓の後遺障害では、臓器の損傷や手術の内容に加え、治療後にどの機能がどれだけ低下したかを確認します。同じ臓器を傷めた場合でも、検査結果、残存機能、継続的に必要な管理によって評価が変わります。

また、検査の数値だけでは、食事や排泄の管理、作業の中断などの負担が十分に伝わらないこともあります。本記事では、胸腹部臓器の後遺障害について、臓器別の認定の考え方と、申請・賠償に向けて整理したい資料を解説します。

目次

  • 内臓の後遺障害は、臓器ごとの機能から確認する

  • 呼吸器・循環器に障害が残った場合

  • 消化器の障害と臓器の摘出・人工肛門

  • 腎臓・排尿・生殖機能の障害

  • 事故との関係と複数の障害の評価

  • 診断書・検査結果・生活記録のそろえ方

  • 認定結果の見直しと賠償で問題になること

  • まとめ:検査結果と毎日の負担を合わせて伝える

内臓の後遺障害は、臓器ごとの機能から確認する

「胸腹部臓器の障害」に含まれるもの

交通事故による肺挫傷、心臓損傷、肝損傷、脾損傷、腎損傷、腸管損傷、膀胱・尿道損傷などの後に、内臓の機能障害が残ることがあります。臓器自体の損傷だけでなく、臓器の働きを調整する神経が損傷した場合にも、その機能が問題になることがあります。

後遺障害の認定では、主に次の区分ごとに状態を確認します。

区分

主な対象

確認する機能・状態の例

呼吸器

肺など

酸素を取り込む働き、呼吸機能、息切れ

循環器

心臓・大動脈など

心機能、身体活動の制限、医療機器や手術後の状態

腹部臓器

食道・胃・腸・肝臓・胆のう・膵臓・脾臓など

食物の通過、消化・吸収、排便、臓器の欠損

泌尿器

腎臓・尿管・膀胱・尿道

腎機能、尿をためる・排出する働き

生殖器

精巣・卵巣など

臓器の欠損、生殖機能・性機能への影響

傷病名は、事故で何が損傷したかを把握するために必要です。ただし、診断名や手術名だけから、後遺障害等級が一つに決まるとは限りません。症状固定時に残った状態と、臓器ごとの認定基準を対応させます。

等級表の大枠と具体的な認定基準がある

胸腹部臓器の機能障害について、等級表では、介護の必要性や労務への制限などに応じて段階を設けています。次の表は一般的な臓器機能障害の大枠を要約したものです。

等級

障害の程度の大枠

1級・2級

著しい機能障害があり、常時または随時の介護を要する

3級

著しい機能障害があり、生涯にわたり労務に就けない

5級

特に軽い労務以外には就けない

7級

軽い労務以外には就けない

9級

就くことができる労務が相当程度制限される

11級

労務の遂行に相当程度の支障がある

13級

胸腹部臓器の機能に障害を残す

この表だけで自己判断するのではなく、各臓器について定められた検査値や障害の状態を確認します。生殖器の障害や、表に直接規定されていない障害を類似の障害に照らして評価する場合には、別途の検討も必要です。

なお、働いているかどうかという現在の就労状況だけで決まるものではありません。医学的な機能低下と実際の制限を確認する必要があります。

呼吸器・循環器に障害が残った場合

呼吸器は、息切れと検査結果を対応させる

胸部のけがの後に「階段を上ると息切れする」「以前のペースで歩けない」といった症状が続く場合は、呼吸機能への影響を確認します。

指定書籍では、呼吸器の障害について、動脈血中の酸素・炭酸ガスの状態、スパイロメトリーによる呼吸機能と呼吸困難の程度、運動負荷試験の結果を用いる評価方法が整理されています。

スパイロメトリーは、息を吸ったり吐いたりする際の空気の量などを測る検査です。肺活量や1秒間に吐き出せる量などから、呼吸機能の状態を確認します。ただし、数値の意味や認定に用いる指標は医師の確認が必要です。

安静にしていると困らないことと、仕事や移動に必要な呼吸機能が保たれていることは同じではありません。歩ける距離、歩く速さ、階段で休む頻度などを、診察時に具体的に伝えます。

胸の痛みと呼吸機能障害を区別する

肋骨骨折後の痛みで深く息を吸いにくい場合と、肺などの機能そのものが低下している場合では、評価の考え方が異なります。両方が関係していることもあるため、症状の原因を整理する必要があります。

胸の痛みや肋骨の変形については、体幹骨の変形や神経症状の評価も問題になります。「胸部の後遺症」とまとめず、骨・神経・呼吸器のどの障害かを確認します。

循環器は、活動の制限と手術後の状態を確認する

心臓や大動脈の損傷については、心機能の低下、除細動器・ペースメーカーの植込み、心臓の弁の置換、大動脈解離などが認定上の検討対象になります。

指定書籍では、たとえば除細動器の植込みについて7級、ペースメーカーの植込みについて9級という区分が示されています。これらは事故との因果関係などの前提を満たした場合の例であり、心機能低下が併存する場合の扱いも別途確認します。

身体活動の制限がある場合は、どの程度の運動や作業が医学的に制限されているのかが重要です。単に「疲れやすい」と記載するだけでなく、検査結果、医師の指示、仕事の内容を対応させます。

消化器の障害と臓器の摘出・人工肛門

胃や腸は、切除の範囲と残った働きを確認する

胃や小腸・大腸を手術した後には、食事量の制限、消化・吸収の問題、排便管理の負担などが残ることがあります。

食道では狭窄による通過障害、胃では切除後に残った障害、小腸・大腸では切除、狭窄、皮膚瘻、人工肛門など、状態に応じて評価します。皮膚瘻とは、腸などと皮膚の間に通り道ができ、内容物が外に出る状態を指します。

「胃の手術をした」「腸を切った」という情報だけでは不十分です。手術記録で部位や範囲を確認し、術後にどのような症状が続いているか、栄養状態や治療内容と合わせて整理します。

人工肛門は、造設後の管理状態も確認する

人工肛門を造設して残存している場合には、原則として7級が問題になり、所定の重い状態では5級を検討します。

5級の検討では、腸の内容物が漏れるためにストーマ周辺の皮膚に著しいびらんが生じ、パウチなどを装着できない状態かどうかが重要です。びらんとは、皮膚の表面がただれた状態をいいます。

交換回数が多いことや、管理の負担が大きいことだけで、直ちに5級となるわけではありません。漏れや皮膚障害の状態、装具を使えるか、医療機関で受けている処置などを資料で確認します。

一方、パウチの処理や交換の頻度、夜間の対応、水分管理などは、生活・仕事への支障を説明するうえで重要です。等級の要件と、実際の管理負担の両方を記録します。

脾臓・胆のうの摘出と、肝臓・膵臓の機能低下

指定書籍では、脾臓の喪失や胆のうの喪失について、13級の区分が整理されています。肝臓や膵臓については、残存する機能障害の内容を確認します。

膵臓には消化に関わる働きと、ホルモンを分泌する働きがあり、どちらの機能が損なわれたかによって評価が異なります。臓器の一部を切除した場合も、切除した事実だけでなく、残った機能と必要な治療を確認します。

過去の資料には、臓器喪失について現在とは異なる等級が示されている場合があります。古い裁判例の等級だけを見て判断せず、適用される認定基準を確認することが必要です。

腎臓・排尿・生殖機能の障害

腎臓は、片方を失ったかどうかと腎機能を確認する

腎損傷などによって片方の腎臓を摘出した場合、残る腎臓の機能も評価に関係します。

指定書籍では、一側の腎臓を失った場合と、失っていない場合を分け、糸球体濾過値(GFR)を参照して評価する仕組みが説明されています。GFRは、腎臓が血液を濾過する働きを示す指標です。

片方の腎臓を失った場合でも、残存機能に応じて7級・9級・11級・13級の区分があり、「腎臓を一つ摘出したら全員同じ等級」とは限りません。重度の機能低下については、さらに別の基準の検討が必要になることもあります。

検査票には、実測値や推算値、体表面積で補正した値など、表し方の異なる数値が記載される場合があります。手元の数値だけを基準表へ当てはめず、認定に用いる検査値と単位を主治医に確認します。

排尿障害は「出しにくい」と「ためにくい」を分ける

排尿に関する障害では、尿を出しにくい状態と、尿をためられず漏れてしまう状態を区別します。尿路を変更する手術を受けた場合には、その術式や管理状態も確認します。

残っている問題

確認したい事項

尿を十分に出せない

残尿量、導尿やカテーテルの必要性、原因となる損傷

尿が漏れる

尿失禁の種類、持続性、パッドの装着・交換の必要性

トイレの回数が増えた

排尿記録、膀胱や神経の所見、ほかの原因の有無

尿路変更術を受けた

術式、装具の使用、ストーマ周囲の皮膚状態

指定書籍では、たとえば残尿が100mL以上の場合の9級、50mL以上100mL未満の場合の11級という区分が示されています。ただし、残尿量の一度の測定だけで等級を断定するものではなく、障害の原因や継続した状態も確認します。

頻尿についても、回数だけで判断するわけではありません。器質的な病変や支配神経の損傷、排尿回数、ほかの原因の有無など、所定の条件を検討します。

生殖機能・性機能は、話しにくくても診療上の確認が必要

精巣や卵巣の喪失、生殖機能の障害、勃起障害、射精障害なども、事故による損傷との関係が認められる場合には評価の対象になります。

ただし、事故後に症状が現れたという時期的な関係だけではなく、原因となる臓器や神経の損傷、検査所見、事故前の状態を確認する必要があります。心理的な要因が関係する場合には、評価の区分も含めて慎重な検討が必要です。

相談しにくい内容であっても、申告がなければ必要な診察や検査につながらないことがあります。主治医や専門の診療科に相談し、実際の症状を記録してもらうことが大切です。

事故との関係と複数の障害の評価

事故前の病気と事故による変化を整理する

内臓の機能低下には、交通事故以外の病気が関係することもあります。指定書籍でも、既往症があり、事故と腎機能低下との因果関係が争われた例が紹介されています。

事故前の診療録や健康診断、事故直後の画像・検査結果、その後の推移を照合し、何が事故で生じたのかを整理します。既往症があることだけで事故との関係が否定されるものではありませんが、事故後に検査値が悪くなったという事実だけで因果関係が認められるとも限りません。

事故前と事故後を比較できる資料が、症状の原因を説明する手がかりになります。

脊髄や神経の損傷から生じる障害もある

神経因性膀胱など、排尿機能の障害が脊髄や神経の損傷から生じる場合があります。この場合は、泌尿器の状態とともに、原因となる神経系統の障害を確認します。

同じ神経損傷の現れを別々の障害として重ねて評価できるとは限りません。神経系統の障害として総合的に評価すべきか、臓器の障害との関係をどう整理するかを検討します。

複数の臓器に障害があっても単純な足し算ではない

複数の臓器に障害が残る場合には、各臓器の状態を確認したうえで、胸腹部臓器という同一系列の障害として、併合の方法を用いた評価を検討します。

さらに、複数の障害が重なって介護が必要になるなど、個々の評価だけでは全体の状態を十分に表せない場合は、介護や労務の制限を踏まえた総合評価も問題になります。

障害の数だけで重い等級になるわけではありません。一つひとつの機能障害と、全体として何ができなくなっているかの両方を示します。

診断書・検査結果・生活記録のそろえ方

臓器別の資料と治療経過をそろえる

主治医と症状固定後に残る状態を確認し、診断書だけでなく、その記載を裏付ける資料を整理します。

資料

確認する内容

救急・入院時の診療録、画像

事故直後の臓器損傷、傷害の部位・程度

手術記録

摘出・切除の部位と範囲、再建方法、造設したストーマ等

臓器別の検査結果

呼吸機能、心機能、腎機能、残尿量など

通院・処置の記録

装具、導尿、皮膚の処置、継続治療の内容

後遺障害診断書

傷病名、残存障害、検査所見、継続的な管理の必要性

事故前の医療資料

既往症の内容、事故前からあった機能低下

必要な資料は臓器と障害の内容によって異なります。すべての検査を一律に受けるという意味ではありません。評価に必要な情報が何かを確認し、検査の必要性や方法は医師に判断してもらいます。

複数の診療科に通っている場合は、各科が何を診ているかを整理します。整形外科の診断書だけでは、泌尿器や消化器の機能障害が十分に伝わらないこともあります。

毎日の管理負担は、回数と時間を記録する

外見では分かりにくい障害については、日々必要な対応を具体化することが役立ちます。

  • 歩行や階段で休む回数、動ける範囲

  • 食事の回数・量、食後の症状、食事に必要な時間

  • 排尿・排便の回数、失禁、導尿、装具の処理や交換

  • 夜間に対応が必要な回数と、翌日の活動への影響

  • 家族の手助けが必要な動作、その頻度・時間

記録は、負担を強調するためではなく、通常の状態を正確に伝えるために作成します。状態がよい日と悪い日、できることと難しいことの両方を残します。

また、治療を受けている事実だけで、症状固定に至っていないと決まるものではありません。機能回復を目指す治療と、残った障害を管理するための処置を区別し、症状固定の時期は主治医と確認します。

認定結果の見直しと賠償で問題になること

非該当・想定より低い等級の場合は理由を確認する

認定結果に疑問があるときは、事故との因果関係が否定されたのか、所定の機能障害が確認できなかったのか、障害の程度が基準に届かなかったのかを分けます。

因果関係が争点なら事故前後の資料、程度が争点なら対応する検査結果や管理状態の記録が重要になります。すでに提出した診断名を繰り返すだけでは、判断の不足を補えないことがあります。

異議申立てでは、どの判断を、どの追加資料により見直してほしいのかを整理します。自賠責の認定と民事訴訟上の判断は別であり、裁判でも認定等級が必ずそのまま採用されるわけではありません。

逸失利益は、仕事への影響と結び付けて説明する

後遺障害逸失利益は、後遺障害によって働く能力が低下し、将来得られたはずの収入を失うことに対する賠償です。

内臓の障害では、重い物を運べないといった制限のほか、頻繁に作業を中断する、トイレや処置の場所が必要になる、食事や水分の管理が必要になるなどの支障が問題になります。

現在の収入が維持されている場合も、同僚の補助や配置転換、本人の特別な努力によって維持できているのかを確認します。他方、等級が認定されたというだけで、一定の割合・期間の逸失利益が必ず認められるものではありません。

業務内容、勤務状況、給与資料、医師による活動制限などを照合して説明します。家事を担っている場合も、実際の家事内容と支障を具体化することが重要です。

将来の処置費・装具費・介護費は必要性を確認する

症状固定後も装具や医療的な管理、介護が必要になる場合には、将来の費用も賠償上の検討事項になります。

継続して必要となる理由、頻度、費用、見込まれる期間を医療資料や実際の支出資料で確認します。「今使っているから一生分が当然に認められる」というものではなく、将来の必要性と金額の相当性を示す必要があります。

後遺障害慰謝料、逸失利益、将来の費用は、それぞれ異なる損害です。示談前に、残存障害と必要な管理を把握し、検討すべき費目の漏れがないか確認することが大切です。

まとめ:検査結果と毎日の負担を合わせて伝える

交通事故による内臓の後遺障害は、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器・生殖器などの機能を、臓器別の基準に照らして確認します。手術名や臓器喪失の有無だけでなく、残存機能や管理状態が重要になります。

申請に向けては、事故直後の資料、手術記録、検査結果、診断書をそろえ、食事・排泄・移動・仕事への支障を具体的に整理します。既往症や神経損傷がある場合には、事故との関係や障害同士の関係も確認します。

認定結果や賠償の説明に疑問がある場合は、検査結果と認定理由、日常生活・仕事の記録を用意して、交通事故を扱う弁護士に相談すると、追加で検討すべき点を整理できます。

この記事の執筆者

あきらB

交通事故被害者の方が適切な賠償金を受け取れるよう、法律的な観点から初期対応のアドバイスや記事の執筆、内容の検証・監修を行っています。

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