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交通事故後に手足の痛み・しびれが続くときは?末梢神経障害・CRPSの認定と必要な資料

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2026/10/07

交通事故後に手足の痛み・しびれが続くときは?末梢神経障害・CRPSの認定と必要な資料

あきらB

#部位・症状別

この記事はこんな人におすすめ:

  • 交通事故の後、手足の痛みやしびれ、力の入りにくさが残っている人

  • CRPSやRSDと診断され、後遺障害でどのように評価されるか知りたい人

  • 検査結果や生活・仕事への影響を、認定に向けて整理したい人

交通事故後の手足の痛みやしびれは、末梢神経の障害やCRPSなどとして、後遺障害の検討対象になることがあります。ただし、痛みが強いという訴えや診断名だけで、認定の可否や等級が決まるわけではありません。

症状の原因と範囲、診察・検査で確認された状態、事故後の経過、生活や仕事への影響を整理することが重要です。特にCRPSでは、治療のための診断と、後遺障害としての評価を分けて考える必要があります。

目次

  • 末梢神経障害とCRPSは、どのような状態?

  • 痛み・しびれと運動の障害を分けて確認する

  • 局部の神経症状では12級・14級が問題になる

  • CRPSの診断と後遺障害認定は、同じ判断ではない

  • 検査所見と事故後の経過を対応させる

  • 生活・仕事への影響と、準備したい資料

  • 非該当や等級に疑問がある場合の確認点

  • まとめ:痛みの訴えと医学的所見の両方を伝える

末梢神経障害とCRPSは、どのような状態?

末梢神経の障害では、感覚と運動の両方が問題になる

神経系は、大きく中枢神経系と末梢神経系に分けられます。脳と脊髄が中枢神経系に当たり、末梢神経は身体の各部分と中枢を結ぶ働きを担います。

末梢神経が損傷すると、しびれや感覚の鈍さ、痛みだけでなく、筋力の低下や手足の動かしにくさが現れることがあります。発汗や皮膚の状態などの変化が問題になる場合もあります。

手や腕では、正中神経、尺骨神経、橈骨神経など、どの神経に障害があるかによって、症状が現れる場所や動作が異なります。腕神経叢のように複数の神経が複雑に走る場所では、損傷部位の特定が難しいこともあります。

ただし、「手がしびれる」という症状だけで、末梢神経の損傷と判断できるわけではありません。脳、脊髄、神経根、関節などの問題も含め、医師による原因の確認が必要です。

CRPSでは、痛みに加えて複数の変化が問題になる

CRPSは、複合性局所疼痛症候群のことです。外傷などの後に、きっかけとなった損傷の程度に比べて強い痛みが続き、腫れ、皮膚の色や温度の変化、発汗の異常、動かしにくさなどを伴うことがあります。

軽く触れた刺激でも痛む状態を「アロディニア」と呼びます。普段なら問題にならない衣類との接触などがつらくなる場合もありますが、そのような症状が一つあるだけでCRPSと診断されるわけではありません。

書籍では、明らかな神経損傷を伴わないタイプIと、神経損傷を伴うタイプIIが説明されています。従来のRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)やカウザルギーという名称も、認定基準や裁判例で登場します。

CRPSという診断名と、一般的な末梢神経障害は同じ意味ではありません。本記事では両者を扱いますが、すべてのしびれや痛みがCRPSに当たるという趣旨ではありません。

痛み・しびれと運動の障害を分けて確認する

症状がある場所と、障害された神経の関係を見る

末梢神経の障害を検討するときは、痛みやしびれが、どの場所に、どの範囲で生じているかを確認します。神経が担当する感覚の領域と、症状の分布が対応しているかが重要になります。

例えば、「右手がしびれる」という説明より、どの指の、手のひら側か手の甲側か、腕まで広がるかを伝える方が、状態を把握しやすくなります。常に同じ場所なのか、時間や動作によって変わるのかも確認します。

ただし、神経の支配領域には重なりもあり、身体の図を見て本人が損傷部位を断定することは適切ではありません。症状の場所を正確に伝え、その医学的な意味を医師に評価してもらうことが基本です。

「動かせない」の理由を確認する

手足の動かしにくさには、神経の障害によって筋力が落ちている場合、関節が硬くなっている場合、動かすと痛むため動作を控えている場合などがあります。

日常の困難が似ていても、後遺障害の評価で確認する事項は同じではありません。筋力、関節の動く範囲、診察時の状態、画像などを合わせて原因を整理します。

指定書籍では、末梢神経の損傷によって身体の各部に機能障害が生じた場合、原則として、その部位の機能障害に関する等級で評価すると説明されています。したがって、末梢神経の障害を、すべて痛み・しびれの12級や14級の問題にまとめることはできません。

同じ原因の症状を、単純に足し合わせない

痛み、感覚の低下、関節の動かしにくさが同時にある場合にも、それぞれを別の後遺障害として機械的に併合できるとは限りません。原因が共通しているか、一方から通常生じる関係にあるかなどを確認します。

一方、「同じ原因だから詳しく記載しなくてよい」ということでもありません。すべての症状を把握したうえで、どの障害として評価するかを整理することが大切です。

局部の神経症状では12級・14級が問題になる

12級13号と14級9号の違い

局部の痛みやしびれなどの神経症状については、次の区分が問題になります。

等級

障害の内容

確認するポイント

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

残った症状の原因を、医学的・他覚的な所見から証明できるか

14級9号

局部に神経症状を残すもの

受傷状況、診療経過、検査などを通じ、症状を医学的に説明できるか

指定書籍では、この違いを、障害の存在を医学的に証明できるか、医学的に説明できるかという観点から整理しています。

ただし、「画像に異常があれば12級」「画像に異常がなければ14級」という単純な分け方ではありません。見つかった所見が、現在の症状の原因を説明するものかが重要です。

痛みの強さや通院期間だけでは決まらない

本人が強い痛みを感じていることは、診療や生活への影響を考えるうえで重要な情報です。しかし、痛みの強さだけから等級を選ぶことはできません。

また、長期間通院したことや、特定の検査で陽性だったことだけで、自動的に認定されるものでもありません。事故との関係、症状の継続、所見の整合性、残った障害の状態を合わせて確認します。

逆に、画像に明らかな異常が見つからなかったという理由だけで、検討すべきことがなくなるわけではありません。診療記録や神経学的な診察結果に、症状を説明する情報がないかを整理します。

CRPSの診断と後遺障害認定は、同じ判断ではない

治療のための判定指標は、等級の判定表ではない

CRPSには医学的な診断・判定の枠組みがありますが、その目的は一つではありません。治療方針や専門医療機関への紹介を考えるための指標と、障害の残存や程度を判断する基準を、そのまま同じものとして扱うことはできません。

指定書籍に掲載された日本版CRPS判定指標にも、後遺障害の有無や重症度を判定するための指標ではない旨の注意が示されています。

そのため、「CRPSと診断されたので必ず重い等級になる」とは限りません。一方、認定上の条件に当てはまらなかったことと、治療を要する症状がないことも、同じ意味ではありません。

RSDとしての評価で確認される3つの状態

書籍が整理する認定基準では、RSDについて、次の3つの状態が、障害のない側と比較して明らかに認められるかを確認します。

確認する状態

医療資料で確認する内容

関節拘縮

関節が硬くなり、動く範囲が制限されている状態

骨の萎縮

レントゲンなどで確認される骨の変化

皮膚の変化

皮膚温の変化や皮膚の萎縮など

これはCRPS全般の医学的診断を、この3項目だけで決めるという意味ではありません。医学的にCRPSと診断されたことと、RSDの後遺障害認定で求められる所見がそろっていることを区別しましょう。

診断名だけでなく、どの所見が、いつ、どの検査や診察によって確認されたかを把握する必要があります。

特殊な痛みとして評価される場合の等級

カウザルギーや、上記の条件を満たすRSDについて、書籍では痛みの労働能力への影響に応じた7級・9級・12級の区分を示しています。

自賠責の等級

痛みによる支障の大枠

7級4号

軽い労務以外には、常に支障が出る程度の痛みがある

9級10号

通常の労務は可能でも、痛みのため時に働けなくなり、就ける職種が相当程度制限される

12級13号

通常の労務は可能だが、時に仕事に支障が出る程度の痛みが起こる

この表は、痛みの強さを本人が点数化して等級を選ぶためのものではありません。痛みの部位や性質、発作の頻度、強さ、持続時間、一日の中での変化、原因を裏付ける所見などを確認します。

また、特殊な痛みとしての評価が認められなかった場合にも、局部の神経症状や、医学的に裏付けられた機能障害の検討が残ることがあります。どの評価が可能かは、実際の障害と資料に即して判断します。

検査所見と事故後の経過を対応させる

すべての人に同じ検査が必要なわけではない

末梢神経障害では、感覚、筋力、反射などの診察に加え、病状に応じて画像検査、筋電図、神経伝導検査などが検討されます。

筋電図は筋の電気的な活動を、神経伝導検査は刺激に対する反応や伝わり方などを調べるものです。書籍では、神経障害の部位や程度を検討する資料として説明されています。

ただし、検査にはそれぞれ役割があり、検査を受ければ認定されるというものではありません。何を調べるための検査で、その結果が症状をどのように説明するのかを主治医に確認します。必要な検査は医師が病状に応じて判断するもので、自己判断で痛みを誘発する検査を試す必要はありません。

初診から現在までの変化を整理する

資料は症状固定時のものだけでなく、事故直後から時期ごとに確認します。初診時の症状、治療中の変化、転院先での所見、現在残っている障害を並べると、経過を把握しやすくなります。

  • 事故でどの部位に力が加わり、どのようなけがをしたか

  • 痛みやしびれは、いつ、どの場所から始まったか

  • 筋力低下や動かしにくさが、いつ確認されたか

  • 腫れ、皮膚の変化、関節の動きなどがどう推移したか

  • 治療によって改善した点と、残った点は何か

症状の場所や程度が変わっている場合も、その事実をそのまま伝えます。一貫しているように見せるために記録を整えるのではなく、変化について医学的にどのような説明ができるかを確認しましょう。

写真や本人の記録は、診療資料を補うもの

腫れや皮膚の色の変化は、診察日には目立たないこともあります。写真を残す場合には、撮影日と部位が分かるようにし、可能な範囲で左右や経時的な比較ができる状態にしておくと、医師へ伝える補助になります。

ただし、写真だけで皮膚温や骨の変化を判断することはできません。撮影条件で見え方も変わるため、写真を医学的な検査の代わりにせず、診療記録と合わせて確認します。

生活・仕事への影響と、準備したい資料

症状と、できなくなった動作を結び付ける

「痛くて仕事ができない」という説明だけでは、どのような制限があるかが伝わりにくい場合があります。痛みやしびれによって、どの動作を、どれくらい続けられないのかを整理しましょう。

場面

記録の一般例

手を使う作業

キーボード入力、細かい道具の操作、物を持つ動作の支障

立位・歩行

立っていられる時間、歩く距離、休憩や補助具の必要性

更衣・入浴

衣類との接触や、腕を上げる動作などで生じる困難

勤務

担当業務の変更、作業の中断、勤務時間の短縮

家事

買い物、調理、掃除などを家族が代わりに行う状況

これらは記録する観点の例であり、特定の等級を示すものではありません。本人の実際の状態に合わせ、できている動作や援助があればできる動作も残します。

痛みの程度を数値で記録する場合にも、それだけでなく、持続時間、きっかけ、休憩や治療後の変化などを添えると、状態を説明しやすくなります。

医療資料と生活の資料を分けて準備する

認定に向けては、次の資料のうち、手元にあるものと追加の確認が必要なものを整理します。

  • 事故直後からの診療記録、転院時の紹介状

  • 画像と読影の資料、筋力・感覚・反射などの診察結果

  • 実施された筋電図・神経伝導検査などの結果

  • 関節の動く範囲、骨・皮膚の変化、左右差の記録

  • 治療内容と経過、リハビリテーションの評価

  • 後遺障害診断書や、必要に応じた主治医の説明資料

  • 本人・家族の記録、勤務先の業務変更などの資料

診断書には、希望する等級に合わせた表現ではなく、実際の症状と医学的な評価を正確に反映してもらうことが基本です。日常の支障が診察だけでは伝わりにくい場合には、具体的な記録を持参して説明しましょう。

非該当や等級に疑問がある場合の確認点

認定結果に疑問がある場合には、まず理由を確認します。事故との関係が問題なのか、神経損傷の裏付けなのか、CRPS・RSDとして必要な所見なのか、仕事への影響なのかで、確認する資料が変わります。

CRPSと診断されている場合も、診断名を繰り返すだけでは足りないことがあります。認定で不足するとされた所見について、実際には記録があるのか、医師の評価が分かれているのか、検査時期や左右比較に問題がないかを整理します。

また、RSDとしての評価が否定されたことと、残った症状がすべて後遺障害に当たらないことを混同しないようにします。別の障害として検討できるかも、医学的な裏付けとともに確認します。

書籍には自賠責と裁判で評価が異なった例も紹介されていますが、別の事件の結果がそのまま当てはまるものではありません。追加資料や異議申立てなどの対応は、自分の事案で何が争点になっているかを整理して検討しましょう。

まとめ:痛みの訴えと医学的所見の両方を伝える

末梢神経障害やCRPSでは、痛み・しびれの範囲、運動への影響、検査所見、事故後の経過を確認します。診断名や痛みの強さだけで等級が決まるわけではなく、機能障害と神経症状の評価の違いも重要です。

特にCRPSでは、治療のための診断と、後遺障害としての認定を区別する必要があります。症状の医学的な裏付けと、生活・仕事に生じている具体的な支障を対応させ、障害の全体像を伝えましょう。

この記事の執筆者

あきらB

交通事故被害者の方が適切な賠償金を受け取れるよう、法律的な観点から初期対応のアドバイスや記事の執筆、内容の検証・監修を行っています。

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